2009 Fiscal Year Annual Research Report
干潟に生息する二枚貝の生態行動の土質力学的解明とその数値モデル化
Project/Area Number |
21656117
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
日下部 治 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (40092548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 次朗 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40179669)
井澤 淳 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70345388)
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Keywords | 支持力 / 二枚貝 / 潜砂挙動 |
Research Abstract |
本研究は、干潟に生息する二枚貝に着目し、その生態行動を一連の土質力学的問題として分解して、二枚貝の生態行動を数値モデル化することを目的とする。 本年度は干潟にて、アサリとシオフキを対象として二枚貝の潜砂挙動の観察を行った。シオフキはアサリに比べて球に近い形状をしているのが特徴である。また、同一の殻長を有するアサリとシオフキの重量および有効重量を比較した場合、重量はシオフキの方が有意に大きく、有効重量はアサリの方が有意に大きい。これは干出条件ではシオフキがアサリより重いが、冠水条件ではシオフキは見かけ上アサリより軽くなることを意味する。現地観察の結果、地盤上に水平に横たわる二枚貝は「足を突っ込む」「体を立てる」「体を引き込む」という3つの段階を経て地盤内に潜るということが分かった。 さらに二枚貝の種類や大きさによる潜砂挙動の違いを詳細に調べるため、室内潜砂実験を行った。アサリについては、水位にかかわらず、底質強度の増加に伴い潜砂能力が低下していた。しかし、シオフキについては、同じ底質強度であっても水位の違いによって潜砂指標値が異なる。特に殻長30mmのシオフキでは、浮力が十分に作用せず、体を立てることが出来ないケースが見られた。アサリに関しても殻長30mmの個体は体を立てることが困難であったが、足を何度も突っ込むことによって生じる地盤の傾斜を巧みに利用して、体を徐々に立ち上げる挙動が観察された。アサリの実験結果と比較して、シオフキは体を立てることさえ可能であれば、高い潜砂能力を発揮するが、体を立てられない場合に潜砂能力が大幅に低下すると言える。これらの成果を元に,来年度は二枚貝が生息可能な地盤条件を推定可能な理論モデルの構築を行う。
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