2011 Fiscal Year Annual Research Report
水平動下で柱の回転運動を伴う伝統木造建物の動揺現象発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
21656137
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 督 金沢工業大学, 環境・建築学部, 准教授 (30367445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正美 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40170469)
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Keywords | 建築構造・材料 / 耐震 / 数理工学 |
Research Abstract |
平成22年度までの研究結果から、実験で観察された剛体円柱の鉛直軸回りの回転挙動が、これまで報告されていない臨界現象であることを理論的に明らかにした。回転挙動の発生は、加振直交方向の斉次方程式の非自明解の存在条件で表すことができ、この現象の遷移過程を説明する理論展開の妥当性を数値解析的に検証し得た。この成果は、本研究の主題の一つを解決したことに相当し、今後の石場建て伝統的木造建築物の耐震設計に資すると考えられる。 本研究で着目した回転運動の発生は、ロッキングという周期運動から別の安定な周期運動への移行である。この現象移行過程は、既往の分岐理論でいう周期解が分岐する超臨界Hopf分岐の可能性がある。これまでに用いた理論展開が、既往の分岐理論に対応しているかを確認するためには、厳密な解析的定式化を経た検討が必要である。その第一段階として、静的釣合経路に対する定式化を示し、その解析解を導出した。 円柱に対し一方向の強制水平変位を与えたときに生じる柱の分岐挙動について検討した。釣合経路解析の結果、変位振幅が剛体の転倒限界に達した時、不安定対称分岐点が現れる。分岐経路に対する速度解を積分すると、柱重心の軌跡(解析解)は円軌道を描く鉛直軸回りの回転運動が現れる。また分岐後の釣合経路は、常に接線剛性行列の行列式が零となるため、臨界点の軌跡を表す。最初に現れる転倒限界位置のみが分岐点であり、その他の釣合状態では極限点である。 以上より、剛体円柱に関する釣合経路の定式化を示し、鉛直軸回りの回転と分岐とが明確に対応することを解析的に明らかにした。この結果を動的安定問題に適用し、厳密な数理構造を再検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)