2010 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的建造物内部で展開される多様な利用形態が建物や収蔵文化財に与える影響
Project/Area Number |
21656150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 敏也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (60306074)
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Keywords | 歴史的建造物 / 活用形態 / 文化財 / 空気質測定 |
Research Abstract |
歴史的建造物は建築学的な評価を受けることにより価値づけられ、その後の活用されてからの利用形態がどのようは影響が建造物に生じているかのモニタリングは意識されてこなかった。建造物の活用における文化財汚染物質の把握と来館者による様々なインパクト因子の調査をおこない、利用形態ごとの劣化因子を明らかにすることを目的としている。 本年度は昨年度に引き続き歴史的建造物の環境調査を行った。 昨年度温湿度などの環境モニタリングを開始した国指定史跡旧富岡製糸場(群馬県富岡市)にて空気質調査をお行なった。調査項目は文化財への劣化因子として挙げられる次の項目で行なった。有機酸(酢酸、ギ酸)、無機酸(C1-、NO2-、NO3-、SO42-)、NH4+、TOC、アルデヒド類、浮遊菌(細菌、真菌)、酸性度、温度、湿度。また今年度はCO2濃度センサーによるモニタリングを活用、未活用建造物のそれぞれで実施した。展示スペースやイベントスペースで若干アルカリ(NH4+)値が高い値を示した。これは来館者に由来する。CO2濃度については開館時間に上昇がみられるものの閉館後には元の状態(未活用時)に回復し、ガス濃度が蓄積する傾向はみられなかった。これまでの調査においてはおおむね文化財収蔵環境としておおきな問題がある建造物はみられていない。今までの調査項目が博物館環境における空気質を念頭に選定しており、次年度は測定項目を選定し直し、建造物に特化した調査を行なう予定である。
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