2011 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的建造物内部で展開される多様な利用形態が建物や収蔵文化財に与える影響
Project/Area Number |
21656150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 敏也 筑波大学, 芸術系, 准教授 (60306074)
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Keywords | 歴史的建造物 / 活用形態 / 文化財 / 空気質 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き歴史的建造物の環境調査を行った。国指定重要文化財舞鶴市赤レンガ博物館および市政記念館、まいつるちえ蔵、国三棟などにて空気質調査をお行なった。調査項目は文化財への劣化因子として挙げられる次の項目で行なった。有機酸(酢酸、ギ酸)、無機酸(Cl-、NO2-、NO3-、SO42-)、NH4+、TOC、アルデヒド類、浮遊菌(細菌、真菌)、酸性度である。この結果、イベントスペースに利活用している空間においてアルカリ成分、有機TOC、ギ酸などが他の個所と比較して高い値を示した。また、施設近くを走る幹線道路の影響や展示利用施設では展示パネルからの放散と思われる成分が検出されるなど立地や活用形態に見合った結果を確認できた。 歴史的建造物では観光客の増加と活用の一環として敷地内でコンサートを開催している施設も多い。観光客のコンサートで発生する音(振動)がどのように建物に伝播するのか昨年度空気質調査を実施した富岡製糸場にて調査を行った。加速度センサーと振動センサーを構成材に設置し、得られたデータを高速フーリエ変換(FFT)することにより、振動の周波数成分を解析した。建物を構成する素材の振動特性を明らかにすることができ、観光客やコンサートで発せられる振動の伝播特性を把握できた。今後はこれらの振動が素材の劣化などにどのような影響を与えるのか調査する必要がある。活用にあたってその建造物の構成材料が持つ振動特性を把握することは、適切な管理運営に必要となる。
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