2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656153
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
毛利 哲夫 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20182157)
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Keywords | 連続変位クラスター変分法 / 規則-不規則変態 / マルテンサイト変態 / 置換型変態 / 変位型変態 |
Research Abstract |
クラスター変分法(Cluster Variation Method;CVM)は、モンテカルロ法や分子動力学法と並んで、原子配列の詳細を考慮し得る平衡状態の計算手法として多くの成功をおさめてきた。しかし、これまでの取り扱いは、いわゆるReplacive transformation(以下R変態)、即ち原子の拡散による位置交換が生起する変態現象(拡散変態)に特化されてきた。規則-不規則変態に代表されるR変態は相変態論の一大領域を形成するが、もう一つの大領域を形成するマルテンサイト変態に代表されるDisplacive transformation(以下D変態)へのCVMの応用はなされていない。本研究では、連続変位クラスター変分法を原子の集団変位の問題に拡張することによりR+D共存・競合系の相変態の理論計算を遂行した。特に、正方格子に関する相安定性の問題に取り組み、c軸の変位効果に関して、これまでよりも多くの準格子点を導入し、計算の精緻化を図った。また、エネルギー項の導入に当たっては、電子状態の計算から原子間有効相互作用エネルギーを導出する必要があるが、超多元系に対するクラスター展開を実行した。さらに、ZrO_2における酸素イオンの変位が誘起するマルテンサイト変態に本手法を拡張し、この変態が2次変態であることを確かめた。加えて、フォノンモードの考察を行う為に、連続変位クラスター変分法から得られる原子変位をフーリエ変換することにより、k-空間での散漫散乱強度を算出した。これらの計算は、常に平衡状態図の計算とカップルして行い、相安定性とR+D相変態に対する統合的な知見を得た。
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