2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁気・電気相関効果に基づくスピン再配列の実験的検証
Project/Area Number |
21656154
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷山 智康 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (10302960)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 磁性 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
電子のスピン制御をその基本原理として組み込んだ高機能性エレクトロニクスにおいては、サブマイクロメートル以下の大きさを持つ微小磁性体の磁区構造を、電圧印加方式で操作する技術の開発が急務である。本研究では、強磁性ドット/強誘電体界面における逆磁歪効果や磁性体と強誘電体との電子状態の混成効果が、スピン再配列に与える影響を検証・解明することを通して、電圧印加型磁気ビット操作技術の礎を確立することを目的とする。本年度は、(1)強磁性微小構造/チタン酸バリウムヘテロ構造の作製、(2)強磁性微小構造/チタン酸バリウムヘテロ構造の磁気特性、(3)強磁性微小構造/チタン酸バリウムヘテロ構造への電圧印加に伴う磁気特性の変調効果、について調査した。具体的には、種々のアスペクト比を持つ鉄ドット配列を作製し、磁気力顕微鏡を用いて鉄の磁区構造を評価した。その結果、アスペクト比の関数として明瞭な環流磁区構造の変化が観測された。さらにチタン酸バリウムに電圧を印加して局所的に歪みを誘起するために、チタン酸バリウム上に間隔10ミクロンの2つの非磁性電極を形成し、その間に0.5ミクロン×1.0ミクロンのサイズを有する鉄ドットを配置した構造を作製した。この非磁性電極間に電圧を印加したところ、電圧+30Vを印加した時には環流磁区構造に変化は観察されなかったのに対して、電圧-30Vを印加した時に環流磁区構造の単磁区構造への変化が観察された。この結果は、鉄/チタン酸バリウム界面における圧電歪みが鉄の磁気異方性を変調した結果として理解される。また、極性による磁区構造変化の有無は電圧印加用電極直下におけるチタン酸バリウムのインプリント効果によるものと推察される。
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Research Products
(10 results)