2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656155
|
Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
松井 正顯 財団法人豊田理化学研究所, フェロー (90013531)
|
Keywords | 超磁歪 / モルフォトロピック / 相境界 / 磁性混晶系 / 磁化容易軸 / ソフト磁性 / ラーベス相 / 磁性材料 |
Research Abstract |
H21年度で磁性混晶系のモルフォトロピック相境界ではC_<44>が減少し、C_<44>と逆比例の関係にある[111]方向の磁歪(λ_<111>)が大きくなることを明らかにしたが、H22年度はその磁歪が超磁歪となる原因を理論的に明らかにし、Ni_2MnGa合金の測定でそれを実証した。またNi_2MnGaのGa置換体の研究も行った。以下にその詳細を述べる。 1.磁気物性の立場から磁気異方性エネルギーを整理し直し、強磁性体の磁気異方性には、磁気的相互作用から発生する結晶本来の結晶磁気異方性エネルギー(結晶項)と磁気弾性効果(磁歪)がもたらす磁気異方性エネルギー(磁歪項)より成り立っており、結晶項と磁歪項が互いに打ち消し合う場合に、見かけの磁気異方性が著しく小さくなりソフト磁性体となるが、大きい磁歪を持つ物質であれば超磁歪となることが明らかになった。磁歪の小さい物質では磁歪項は無視できる。 2.磁性混晶系の磁化容易軸境界(ラーベス相希土類-鉄合金など)や結晶構造相変態(ホイスラー型Ni_2MhGa合金など)では、上記の相殺によってソフト磁性体になることが判った。Ni_2MnGaの中間相変態点付近のトルク測定と磁歪測定によってこの相殺効果を定量的に実証した。 3.Ni_2MnGa合金の中間相変態(T_2)が室温付近で起これば、巨大超磁歪材料となり、希土類代替磁歪材料として有望である。本年度は元素置換によってその可能性を研究した。GaをAl,Si,Zn,Ge,Inで置換した。その結果、ZnのT_2=262Kが最高であった。NiとMnの置換は今後の課題である。
|
Research Products
(4 results)