Research Abstract |
高周波溶解炉を用いて,組成を変えた多数のNi_<50>Mn_<50-x>Si_xおよびNi_<50>Mn_<50-x>Ge_x合金を作製し,種々の温度で熱処理を行った.Ni-Mn-GaやNi-Mn-Inなどのホイスラー合金は,強磁性,メタ磁性形状記憶合金として注目を集めている.本研究では,Ni_<59>Mn_<50-x>Si_x, Ni_<50>Mn_<50-x>Ge_xで合金を作製し,850~1000℃における相平衡について調査した. 各種組成のNi_<50>Mn_<50-x>Si_x, Ni_<50>Mn_<50-x>Ge_x(x: 5~25合金を高周波溶解炉で溶製し,インゴットを作製した.インゴットから小片を切出し,石英サンプルに真空封入後,850~1000℃で3日間熱処理を施した後,氷水中で急冷した.熱処理した試料は,光学顕微鏡による組織観察,SEM-EDXによる組織観察と組成分析,TEMによる組織観察,構造解析を行った. SiおよびGeの含有濃度が少ない合金では,マルテンサイト変態特有の双晶組織有する相とそれらが見られない相の2相組織となっている.このような2相組織は,850~1000℃の温度で熱処理した試料で観察された.EDXによる組成分析の結果,双晶が見られる相は,NiMn-richで高温においてB2構造だったものが焼入れの際にマルテンサイト変態したものと考えられる.一方,双晶がない相は,およそNi_<50>Mn_<36>Si_<14>の合金組成で,低温になると僅かにSi濃度が増加する.電子線回折の結果,Mn_2Ni_3Si_2構造であることが明らかとなった.また,Ni_<50>Mn_<35>Si_<15>およびNi_<50>Mn_<35>Ge_<15>の合金では,単相組織が観察された.これらは,化学量論比を外れているが,Mn_2Ni_3Si_2構造であることが電子線回折から明らかとなった.従って,Ni-Mn-Si系およびNi-Mn-Ge系では,Ni-Mn-GaやNi-Mn-InのようなNiMn-B2構造からNi_<50>Mn_<25>X_<25>-L2_1までのBCC規則相の連続固溶体は存在せず,中間相が生じることが明らかとなった.また,Ni_<50>Mn_<25>X_<25>のホイスラー組成におけるL2_1構造も確認できなかった.本研究の結果から,Ni_<50>Mn_<50-x>Si_x, Ni_<50>Mn_<50-x>Ge_x断面における状態図を作製することができた.
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