2009 Fiscal Year Annual Research Report
多値記録を可能とするTe-Si系多段相変化メモリの創製
Project/Area Number |
21656170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 祐司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80375196)
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Keywords | 相変化メモリ / Te-Si薄膜 / アモルファス相 / 結晶化温度 / 電気抵抗変化 |
Research Abstract |
本研究では、多値記録を可能とするTe-Si系相変化材料の開発を目的として、Te-(10,15,18,23at.%)Siアモルファス薄膜を作製し、結晶化挙動および電気抵抗変化を調査し下記の知見を得た。 1.結晶化挙動 いずれの試料においても、結晶化後は、Te+Si_2Te_32相構造を呈した。その結晶化過程は2段階に分けられ、第一にTeが結晶化し、続いてSi_2Te_3が結晶化する事が分った。また、それら第1、第2結晶化温度は、殆ど組成に依存せず、それぞれ約170℃、約300℃であった。 2.結晶化に伴う電気抵抗変化 Te-(10,15,18,23at.%)Siアモルファス薄膜は、2段階の結晶化に伴い、2段階の急激な電気抵抗変化を示した。特に、Te-15at.%Si共晶組成を有するアモルファス薄膜は、第1結晶化において、2桁程度の電気抵抗の低下を示し、第2結晶化において1桁程度の電気抵抗の低下を示した。さらに第1結晶化後に一時的に電気抵抗が上昇する事が分かった。 3.結晶組織観察 本研究では、電気抵抗変化の原因を調査するため、詳細なX線回折およびTEM組織観察を行った。その結果、第1結晶化後には、Siリッチ組成を有するアモルファス相(2~3nm)がTe結晶粒を囲うように残留し、昇温に伴いそれら残留アモルファス相が20~30nm程度に成長する事が分った。さらに、それら残留アモルファス相が第2結晶化過程にてSi_2Te_3へと結晶化する事が分かった。以上の知見から、第1結晶化後の一時的な電気抵抗の増加は、膜中に高抵抗のSiリッチアモルファス相がネットワーク状に形成し、電流のパスをふさいだ為であると考えられる。 以上の結果より、TeおよびSi_2Te_3の結晶化を制御することにより、Te-Si共晶相変化化薄膜において、多値記録化が可能である事が示唆された。
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