2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古君 修 九州大学, 工学研究院, 教授 (60432853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒牧 正俊 九州大学, 工学研究院, 助教 (50175973)
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Keywords | 剛性 / 延性破壊 / 脆性破壊 / 伸線加工 / ナノ材料 / TiB2 |
Research Abstract |
3年目である本年度の目標は、マルチ特性を有する線材の創成である。 昨年度に引き続き、18%Cr-8%Ni(SUS304)鋼のシースに、同組成の線材(直径1mm)40本と初期平均粉末粒径4μmのTiB_213.5~20.6Vol%を封入し、直径1mmまで伸線するプロセスを3回繰り返して作製した線材(集束伸線材)を、本年度は、さらに水素中、1200℃で8h焼鈍して、マルチ特性である引張強さ(ナノインデンター試験による硬さH_<IT>で評価)、脆性および延性破壊特性(引張試験の破面率で評価)、剛性(ナノインデンター試験によるヤング率で評価)を測定した。ナノインデンター試験機を用いてOliver&Pharr法によりヤング率を測定した結果は、242MPaであった。この値は、粒子分散型の複合則から計算されるヤング率とほぼ等しく、TiB_2によるヤング率向上効果が、フェライト系材料と同様に認められた。一方、ナノインデンター硬さHITは4320であり、引張強さに換算すると、約1200MPaとなる。また、焼鈍しても引張試験破面は延性破壊を呈していて、脆性破壊が生じないことを確認した。なお、引張試験材には未溶着部が存在し、機械的特性を測定することはできなかった。電子顕微鏡でTiB2を観察した結果、この粒子は、集束伸線の過程で、溶解した後マトリックス中に再析出する現象が認められ、新しい高強度化手法としても着目できる事実を明らかにした。 以上、述べたように、集束伸線プロセスにより、高強度でかつ高剛性材料の創生が可能であることを明らかにした。本研究に用いた集束伸線試験機では、材料歩留まりが50%と低かったが、今後、歩留まり向上のためのプロセス研究を行うことにより、マルチ特性を有する新規材料創成を工業規模で達成できる目途が立てられた。 ※平成24年度日本鉄鋼協会秋期講演大会発表予定 鉄と鋼に投稿予定
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