2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム含有アルコール溶液中でチタンに形成するカルシウム濃縮皮膜の開発
Project/Area Number |
21656191
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
春名 匠 Kansai University, 化学生命工学部, 准教授 (70243186)
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Keywords | チタン / アパタイト / エタノール / 炭酸塩皮膜 / 電気化学 / 生体材料 |
Research Abstract |
Tiは生体適合性に優れ,生体内においても高耐食性を示すことから,生体硬組織代替材料として広く使用されている.さらにTiの骨伝導性を向上させるため,Tiに様々な表面処理が行われている.近年材料表面へのCaCO_3被覆はハイドロキシアパタイト(HAp)形成能を向上させるという報告がある.そこでCa^<2+>を含むエタノール溶液中でTiに電気化学処理を行い,CaCO_3を含むカソード皮膜を作製し,HApの形成能を調査した. 試料にはJIS第2種Tiを,処理溶液にはN_2ガス脱気を行った濃度0.007,0.02,0.07,0.2M CaCl_2エタノール溶液(25℃)を用いた.各溶液中で定電位の電気化学処理(2V_<Ag/AgCl>)を行い,対極TiにCaCO_3を含む皮膜を生成させた.その後,処理材を温度37℃,pH7.4のハンクス溶液に浸漬し,HApの生成状況を調査した.電気化学処理およびその後のハンクス溶液への浸漬処理によってTi上に形成された皮膜の調査には走査型電子顕微鏡,エネルギー分散型元素分析装置,X線回折解析装置などを使用した. その結果を以下に示す.エタノール溶液中で電気化学処理を行うと,CaCO_3の一種であるカルサイトとバテライトが生成した.とくに0.2M CaCl_2ではカルサイトが,0.02M CaCl_2ではバテライトが最も強く検出された.さらに,これらの処理材をハンクス溶液に浸漬すると,0.02~0.2M CaCl_2で処理された試料にはHApが検出され,0.02M CaCl_2処理材ではHApが最も強く検出された.したがって,本手法によってTi表面に骨形成を誘導するHApの形成を促進することができることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)