2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿尻 雅文 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60182995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 誠一 多元物質科学研究所, 准教授 (40311550)
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Keywords | K4炭素結晶 / 結晶構造予測 |
Research Abstract |
従来、炭素材料にはアモルファス炭素、グラファイト(sp^2)、ダイヤモンド(sp^3)があるが、3次元結晶についてはsp3混成軌道を有するダイヤモンド以外にないと考えられてきた。ところが、昨年、数学の研究者の幾何解析により、120°の分岐(炭素ではsp^2結合)結合から2次元のグラファイトだけでなく3次元結晶構造が組みうることが見出された。申請者らは、この数学研究者と共同で第一原理計算を行い構造安定性と物性評価を行った。構造は安定であり、グラファイトから高圧下で相転移しうることも計算により予測できた。また、この新炭素結晶のXRDパターンも予測できた。その結果、驚くべきことに、この炭素結晶は、自由電子を有し金属的特性をもつことが見出された。これは、フラーレンやCNTと異なり、バルク材料であるので、実際の応用分野を考えると、これらよりもはるかに大きな応用分野が期待される。 そこで本研究では、このK4結晶構造を実験により合成することを目的とする。本年度は、グラファイト、SrSi_2、BNをマトリックスとしたK4合成を試みた。量子化学計算の結果、炭素から構成されるK4結晶は構造的に不安定であるが、遷移金属をドープすると安定になることが明らかとなった。そこで、遷移金属とグラファイトを高温、高圧の条件にしてK4結晶の合成を試みた。さらに、SrSi_2やBNをマトリックスにした場合の量子化学計算を行ったところ、同様に遷移金属の存在下で構造が安定になることが明らかとなった。そこで、これらについても高温、高圧条件でのK4結晶の合成を試みた。 その結果、SrSi_2系において、SrSi_2とMgの混合物では説明することができない結晶構造をもつ物質が生成されていることが明らかとなった。既存のデータベースでも説明をすることができず、更に詳細な解析を行っている。
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Research Products
(3 results)