2010 Fiscal Year Annual Research Report
球状ポリマー固定化錯体触媒の精密合成新手法の開発と環境調和型合成プロセスへの適用
Project/Area Number |
21656209
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 琴広 首都大学東京, 都市教養学部・工学研究科, 教授 (20304165)
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Keywords | 固定化触媒 / リビング重合 / 環境調和型合成技術 / 均一系錯体触媒 / オレフィンメタセシス / 開環メタセシス重合 / 球状ポリマー |
Research Abstract |
本課題は新しい固定化遷移金属触媒(固定化シングルサイト錯体触媒)の設計・創製と高選択的有機合成プロセスの構築で、具体的には「分子量・サイズが厳密に揃った球状ポリマー表面へ固定化した遷移金属錯体触媒の精密合成と高効率リサイクル触媒プロセスへの適用」に関する。既にモリブデン-アルキリデン錯体触媒(通称Schrock型触媒)を用いるノルボルネンのリビング開環メタセシス重合と定量的なポリマー末端官能基化手法を駆使して、球状ポリマー末端(表面)に官能基を有する星型(球状)ポリマーの精密合成に成功しており(平成21年度)、平成22年度は、均一系触媒の特徴(高活性・高選択性)を生かした高効率リサイクル型の官能基選択的な触媒的合成プロセスの確立を目的に取り組んだ。 上述の手法に従い表面にピリジン配位子を有する球状ポリマーを精密合成し、同配位子存在下でのルテニウム触媒によるケトン化合物の水素移行還元反応に取り組んだ。この触媒による活性は、末端にピリジン配位子を固定化したポリマーを配位子とした場合やピリジンを用いた場合と同様で、反応終了後の触媒の回収・リサイクルによる活性の低下がみられなかった。むしろ集積化(球状化)によりリサイクル効率が顕著に改善された。この触媒では、均一系触媒に見られる高い官能基選択性が発現し、他の不飽和結合は還元されずに、カルボニル基のみを優先的に還元した。以上の成果を国内外の会議で発表し、現在学術論文の投稿を準備している途上である。
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Research Products
(4 results)