2010 Fiscal Year Annual Research Report
超分子化学/遺伝子工学融合による人工アロステリック酵素の開発
Project/Area Number |
21656213
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 猛央 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30272363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
山口 哲志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80398106)
平川 秀彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (90451799)
伊藤 天知 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50447421)
|
Keywords | アロステリック効果 / P450 / クラウンエーテル / NIPAM / コンジュゲイション / 分子認識 / 超分子化学 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
生体内に存在するアロステリック酵素は、分子シグナルにより活性を厳密に制御され、生体恒常性を保つ鍵分子である。本研究ではこの機能に創発され、特定イオンを認識して膨潤・収縮するイオン認識応答ポリマー(分子認識ユニット)と、酸化還元酵素であるシトクロムP450(酵素ユニット)のコンジュゲイションを実現し、イオンシグナルにより自身の触媒活性を自律的に制御する人工アロステリック酵素を創製することを目的として研究を行った。 本研究実現の鍵は、P450camの触媒活性を維持しながら、反応部位付近にイオン認識ポリマーを結合する厳密なナノ構造制御である。遺伝子工学的手法を利用し、不要なシステイン残基をセリン残基に置き換え、新たに反応活性部位付近にシステインを導入した組み換え体P450camを大量精製するスキームを確立した。さらに、末端にビニルスルホン基を持つイオン認識ポリマーを重合した。両者をコンジュゲイションする手法を、(1)温度、(2)pH、(3)ジビニルスルホン添加量、(4)還元剤添加量などを変えて検討した。GPC、SDS-PAGE、MALDI-TOF-MSなどによって、コンジュゲイト前後の分子量を比較することによって、確かにコンジュゲイションの確認を行った。この中でも、特にチオール基の定量を行うことによって、コンジュゲイションが起こることを確認した。さらに人工アロステリック酵素の酵素活性を測定した。この結果ナトリウム環境下とカリウム環境下で、酵素活性が10%程度変化した。本研究のコンセプトの基本コンセプトを示すことができた。 今後、人工アロステリック酵素の反応メカニズムを解明するために、共鳴ラマンスペクトル、ESR(電子スピン共鳴)、UV-visスペクトルなどの測定により、野生型・変異型・コンジュゲイトにおいて、反応中心のヘム鉄がどのような影響を受けるか、あるいは酵素近傍の水の状態がどう変化するか、あるいはポリマーの膨潤・収縮による基質の接近阻害効果はどのように効果を発揮しているか、などを検証することによって、更なる研究の深化が可能になると考えられる。これにさらにフィードバックをかけることによって、より大きな酵素活性の差を生みだす分子設計が可能になる。
|
Research Products
(22 results)