2009 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球を用いた酸化ストレス簡易モニタリングデバイスの開発
Project/Area Number |
21656214
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河内 美奈 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70313301)
|
Keywords | 赤血球 / センサ / 酸化ストレス |
Research Abstract |
酸化ストレスは糖尿病合併症をはじめ多くの疾患の発症に関与することが知られている。本研究では、酸化ストレスによる血液中の赤血球表面膜電荷の変化に着目し、正電位印加電極における赤血球の付着を電気化学的応答として検出する測定法を確立した。糖尿病患者にとって危険であるのは,高血糖そのものではなく、持続的な高血糖によりもたらされる、細小血管障害(糖尿病性網膜症,腎症,神経障害など)および大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、壊疽、動脈硬化など)である。すなわち、持続的な高血糖状態により発生する活性酸素種が血管壁を傷害する酸化ストレスが合併症の本態である。従って糖尿病病態では、血糖値管理だけでなく酸化ストレスにより生じた血管障害を予測・測定することが重要となる。そこで、血管障害を反映する新規インデックスとして赤血球の表面膜電荷に着目し、微量の血液により生体内の酸化ストレスに起因する血管障害を予測する測定法の開発について試みた。その結果、赤血球は酸化により表面の負電荷が低下し、正電荷担体との親和性が減少することを見出した。非肥満型II型糖尿病モデルマウスを用いた試験においても、血清中の過酸化脂質や中性脂肪などの合併症リスク因子と赤血球付着性が相関した。そこで、酸化ストレスの簡便かつ日常診療で使用可能なPoint of Care Testing(POCT)機器の開発を目指し、赤血球の付着能を電気化学的応答として検出することを検討した。正電位印加電極あるいは正電荷コート電極における赤血球の付着を電子メディエータの電流応答値の変化として検出でき、赤血球の酸化ストレスと相関することが示唆された。この原理を応用することで、1μl程度の微量血液かつ数分で酸化ストレスを評価することが可能となった。これより、赤血球を利用し、日常的に利用することが可能な簡易型血糖値センサに搭載可能な検出系を構築することができた。
|
Research Products
(5 results)