2011 Fiscal Year Annual Research Report
閉ループ同定アプローチによる船舶操縦性能推定に関する研究
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21656226
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 宏之 九州大学, 工学研究院, 教授 (30114862)
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Keywords | 操縦性能 / Z試験 / 潮流 / 閉ループ同定 / DPS / PID制御 / 推力配分 / 画像センサ |
Research Abstract |
本研究は,方位制御装置をもつ船舶の外乱中操縦性能データが与えられるとき,相当する平水中の操縦性能を推定することを目指して,閉ループ同定に基づく推定手法を開発することを目的とする。まず、対象とする模型船の製作と画像処理による模型船の6自由度運動計測システムの開発を行った。外乱(波・風・潮流)としての影響の大きい潮流を室内実験で模擬するために,任意方向に定速移動をさせることが必要であるため,アジマススラスタ2基とバウスラスタ1基を装備した,作業船の1/33スケール模型を選定した。このDPSを設計するために,本研究ではアジマススラスタの首振り動作を抑制するために,首振り角に制約を課した上で推力最小化を行う問題として定式化し,推力配分行列の特異値分解に基づく求解法を確立した。なお,6自由度運動計測のための画像センサの開発においては,画像処理ライブラリHALCONを用いた。サージ方向、スウェイ方向、ヨー方向の各軸独立にPD制御系を設計し、三角形軌道や楕円軌道を追従する実験を行った。次に一定入射角一定潮流を模擬するための相対運動をさせ、そのうえでのステップ応答試験を行った。次に、T.I.:Fossenらが開発したシミュレータMSSを用いて、単位フィードバック下での船舶(1次野本モデル)の閉ループ同定手法(本研究のオリジナル)が、Z試験による開ループ同定と比べて、どのような優位性をもつかを詳細に検討した。その結果、開ループ同定はZ試験そのものの再現には優れているが、閉ループ同定結果に基づいて設計したPD制御器の方が非線形シミュレータ上でロバストであるという意味において優れていることを示すことができた。製作した模型船の6自由度運動計測制御システムのステップ応答試験結果を用いて、本研究で開発した閉ループ同定手法の適用の精度を高めることが今後り課題である。
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