2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレート開発のためのCO2ハイドレートを利用した浸透特性改質の研究
Project/Area Number |
21656229
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 高敏 Tohoku University, 流体科学研究所, 教授 (00184664)
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Keywords | 海洋資源 / 資源開発工学 / 大深度地下 / 天然ガス |
Research Abstract |
日本近海の深海底面下にあるメタンハイドレート(MH)が天然ガス代替エネルギーとして期待されている.MH層にフラクチャーを導入できれば,刺激の負荷とメタンガスの生産を効率よく実施できるはずである.しかし,MH層ではフラクチャー表面からの逸水が大きく,フラクチャーを十分に大きくすることが容易ではない.一方,MHが存在する温度圧力環境ではCO2も容易にハイドレート化を起こす.本研究では、この性質を利用してフラクチャー面からの逸水を抑制する可能性を検討する.地層の間隙にCO2ハイドレートを発生させて浸透性を低下させるためには,(i)液体CO2と水との接触面積が十分に確保されていること,(ii)地層の境界面(フラクチャー面や坑井壁面)から所定の奥行き深さまで液体CO2が一様に浸入すること,(iii)その後,所定の時間(誘導時間)でハイドレートが生成すること,が必要である.そこで,上記(i)と(ii)の条件を達成するために,液体CO2の粒子を極微細にして水に混ぜたエマルジョンを用いることとし,噴霧ノズルによってエマルジョンを作成する装置を昨年度に作成した.そのエマルジョンを別途用意した攪拌機付きの圧力容器に封入して保持することでCO2ハイドレートが形成される挙動を観測した.その結果,温度と圧力が同じでも,適度な攪拌がないとCO2ハイドレートが形成されにくいことがわかった.次に珪砂を詰めた圧力容器にエマルジョンを注入した際のCO2ハイドレート形成挙動を調べたところ,CO2ハイドレートが形成されるまでに要する時間が珪砂なしの場合に比べて大きく減少し,十分間程度まで短くなることがわかった.前者の実験結果を考慮すると,珪砂を詰めた圧力容器の場合には間隙を縫って流れるときに攪拌と同様な効果が生まれるため,CO2ハイドレート形成に要する時間が短くなったと考えられる.
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