2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速電子によるヌル点を用いないプラズマ電流立ち上げの研究
Project/Area Number |
21656234
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
花田 和明 Kyushu University, 応用力学研究所, 教授 (30222219)
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Keywords | 核融合 / 高速電子 / 電流立ち上げ / ヌル点 / 電子サイクロトロン加熱 |
Research Abstract |
平成21年度は、高周波のみを用いて、プラズマ生成から閉磁気面の形成を実現できた。高周波の電力は30KWで、プラズマ電流は10kA、0.7秒間閉磁気面を維持できたが、プラズマ・壁相互作用による粒子流入に伴って密度が上昇し、放電が停止した。このような放電はn-indexが正の状態でしか得ることができなかった。この閉磁気面が形成されたプラズマで電流値が3~4kAの状態で大半径外側からプローブを挿入し、高速電子の存在の有無を確かめた。プローブの先端は、円形のセラミックに中央に高さ5mmのセラミックの障壁を設けた形状であり、障壁のプラズマ電流の方向とプラズマ電流の逆方向に高さ1mmのタングステン製のプローブピンと障壁上に3~4本の高さ1mmのプローブピンが並んでいる。この障壁の影の2本のプローブピンの浮遊電位を測定したところ数10~数100Vの電位差が閉磁気面形成の直前から観測された。これは、高速電子がプラズマ電流の逆方向(すなわち電流をになう電子のドリフト方向)に設置されたプローブピンのみに流入したことによって引き起こされたものと考えられる。 また、オーミック加熱+高周波のよるプラズマ電流立ち上げでは、高速カメラと磁気計測から、第二高調波共鳴層近傍に流れる電流と基本波共鳴層近傍を流れる電流の相乗効果で真空容器中に自発的なヌル点が形成されていることが示された。このヌル点形成に高速電子が寄与しているかどうかを確認するためにプローブの挿入を試みたが、プラズマ電流が立ち上がらなかった。磁気計測で確認した電流分布は比較的大半径外側まで広がっており、この電流をプローブが遮蔽したためではないかと考えているが、詳細は今後の課題である。
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