2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 一広 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00180993)
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Keywords | 海中ウラン / ゲル / 回収 / 吸着 / アミドキシム基 / アクリルアミド / アクリルニトリル / ラジカル共重合 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に続き、アクリルニトリルやDMSO濃度、作成時の温度と反応時間、ヒドロキシルアミン濃度や浸透時間、メチルアルコール濃度、さらに他のビニル基の濃度などを変えてゲルの作製を試みた。そして、使用可能な強度を持つ中間物質の高分子ゲル試料についてのFT-IR、NMRによる測定を行って、末端処理前の各スペクトルには中間末端基に対応するピークが存在し、ゲル内への導入が確認された。また、末端処理後にはこれらのピークが消失すると伴に、目的分子の末端基に対応する位置にピークが新たに出現し、末端処理が正しく行われている事が確認された。 以上のようにして作製したゲルを用いて、ウランを含むICP-MS標準液をpH調整し、海水溶存ウランを模した溶液でウランの吸着実験を行った。吸着前後の溶液のウラン濃度をICP-MSに測定し、ゲルのタラン吸着能を調べた。その結果、ゲルは実験セル中のウランを殆んど吸着する程に高い吸着量を示す事、官能基の割合の増加と伴に吸着量が上昇している事が明らかとなり、ゲルによる海中溶存ウラン回収についての可能性が示され、資源としてのウランの回収のための新たな方法を確立するという本研究の当初の目的が達成された。 また、東日本大震災に続く原子炉事故によって自然環境へ拡散した放射性物質の回収や、中国の輸出禁止に始まるレアメタル・レアアースの資源安全保障問題への対処の準めの海水からの資源回収へ本研究の成果が応用できることは明らかであり、本研究の成果の重要性は今後さらに増すと考えられる。
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