2009 Fiscal Year Annual Research Report
人体の動きを考慮した重粒子線治療インバースプラニングに関する研究
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21656240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任准教授 (70344025)
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Keywords | 粒子線治療 / モンテカルロ法 / 生体力学 |
Research Abstract |
がんの重粒子線治療とは、線量の集中性が高く、細胞致死効果の高い重粒子線(本研究では主に炭素イオン線を対象とする)を病巣に集中的に照射することによって、非侵襲にがんを治す治療法である。その治療計画では、X線CT画像等に基づいて線量分布を計算する。CT画像は静止画像であるのに対して、腫瘍や臓器の位置は呼吸にともなって周期的に変化する「一定のビームを照射していても、呼吸で人体が動くことによって腫瘍全体に効率的にまんべんなく線量が付与されるような治療計画の原理」を開発するのが本研究の目的である。以上の目的を達成するために、平成21年度は、モンテカルロ線量計算コードと肺の運動モデル(スプリングネットワークモデル)とのハイブリッド化により、呼吸による肺の体積変化・動きを考慮に入れて患部への治療効果や全身線量を評価することが可能な重粒子線治療シミュレータの開発を行なった.その結果,呼吸周期あたり20点以上の肺運動データを用いることによって、特に、線量が集中する患部よりも後方にある正常組織への影響を正しく評価できるようになることが示された。また、研究の過程で、人体ボクセルデータが膨大で、次世代スパコンのスペックをも超えるようなメモリーを必要となる可能性があることが分かったため、全身を複数の領域に分割し従来よりも少ないメモリー使用量での実行を可能にする計算モデルの開発を進め、新たなアルゴリズムである領域分割モンテカルロ法の開発・並列化に成功した。
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Research Products
(6 results)