2009 Fiscal Year Annual Research Report
温度分布を持たない蒸留装置の創出による化学工場の省エネルギー化技術の開発
Project/Area Number |
21656246
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
外輪 健一郎 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (00336009)
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Keywords | 蒸留 / 省エネルギー / プロセスシミュレーション / 最適化 |
Research Abstract |
蒸留はエネルギーを大量に使用する分離手法であり、その省エネルギー化が求められている。本研究では、温度分布を持たない蒸留方式を提案し、その省エネルギー性を検証することを目的としている。本年度は、プロセスシミュレータを活用して、段数や分離スペックが省エネルギー性に及ぼす影響を理論的に検証した。比較対象として同等の分離を従来法の蒸留装置で行った場合を取り上げた。従来法の所要エネルギー量の算出においては、最小還流比に近い条件を仮定した。これは従来型で最も所要エネルギーが小さくなる条件である。また、提案法ではコンプレッサを用いる必要があるが、この動力に要する電気エネルギーは発電効率を考慮して熱エネルギーに換算したうえで評価に用いた。 水-メタノールの等モル混合物の分離を対象として取り上げ、従来法と提案法で所要エネルギー量を比較した。その結果、塔頂メタノール組成が99.5mol%のスペックで、100℃、20段における条件では、約50%の大幅なエネルギー削減が可能であることが示された。段数やスペックの影響を調査したところ、どのような条件においても提案法によるエネルギー消減が可能であるという結果が得られた。提案法によるエネルギー削減率は一般に段数の増大、要求純度の低下、運転温度の低下に伴って、増大することも明らかとなった。一方で、操作線を利用した解析を行ったところ、エネルギーが最小となる操作線が気液平衡線ら沿った形状となることが示された。
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