2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復欠損マウスを用いたエピミューテーションの解析
Project/Area Number |
21657002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 みずき Kyushu University, 医学研究院, 助教 (70380524)
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Keywords | 遺伝情報 / エピミューテーション / ゲノム変異 / DNA修復 / 酸化DNA損傷 |
Research Abstract |
酸化型グアニン(8-オキソグアニン)の修復機構に関与する酵素の遺伝子であるOggl, Mthl, Mutyhの3つの遺伝子を欠損した3重欠損マウスを作成し解析していたところ家系内でのがんの発生率が上昇し、さらに様々な先天性の変異表現型(無/小眼球症、体毛色変異、水頭症など)を有する個体が高頻度に発生することを見いだした。 これまでほ乳類では形質変異は物理的な塩基配列の変化に起因するゲノム変異が原因と考えられてきた。しかし以前からショウジョウバエやゼブラフィッシュでは塩基配列の変化を伴わないエピジェネティック情報の変化が変異表現型を生じる原因になっている可能性が示唆されていた。さらに最近ではマウスの体毛色変異の原因の1つとして変異Kit遺伝子の転写産物が野生型Kit遺伝子の発現を抑えることで、野生型アレルをホモで持つ個体に変異形質を誘発し後の数世代に渡って変異形質が伝わる現象が報告されている。申請者らが作成したOggl, Mthl, Mutyh3重欠損マウスの家系で見られた眼形成異常や体毛色変異はエピジェネティック情報の変異の可能性が考えられたので検証実験を行った。当該年度はこの家系で生じた変異表現型の遺伝様式を明らかにするために、変異表現型を有する3重欠損マウスと野生型との交配により遺伝学的解析を行った。その結果、水頭症は常染色体優性遺伝形式で浸透率は約50-60%程度と考えられた。体毛色変異は常染色体優性形式で浸透率はほぼ100%であった。これらの変異表現型は遺伝子に生じた変異が原因であると考えるのが妥当に思えたので、それぞれの変異表現型の原因遺伝子を同定することを目的とし、変異マウスの形態学的、解剖学的、病理学的解析を行った。その結果に基づき原因遺伝子の候補をデーターベースより検索しシーケンス解析を行っているところである。また、もしエピミューターションであるならば交配世代数を増やすと変異形質の発生頻度が低下すると考えられるのでさらに交配を進めている。
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Research Products
(6 results)