2009 Fiscal Year Annual Research Report
生態学的光合成作用スペクトルの測定:葉が緑である謎の解明
Project/Area Number |
21657007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺島 一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (40211388)
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Keywords | 分光学 / 光合成 / 光阻害 / 柵状組織 / 海綿状組織 / 積分球 / 蛍光分析 / 緑色光 |
Research Abstract |
本年度、本補助金で購入した微小光学ファイバー蛍光計「マイクロファイバーPAM」などを用いて、以下の測定を行った。 1)光をホウレンソウの葉の片側から照射した時の、葉の各部分の光合成量子収率測定方法を開発した。マイクロファイバーPAMでは、パルス変調制御した光電子増倍管によって蛍光を検出する。葉の表側から光を照射する際に、裏側からマイクロファイバーを射し込むと、マイクロファイバーに強い光が当たり、蛍光測定は不能であった。一方、光の照射方向と同じ側から射し込むと、ファイバーの光補足角が小さいため、照射光には影響されずに光化学系IIの量子収率が測定できた。さらに条件を検討して、ルーチンの測定に供する予定である。 2)ホウレンソウおよびピーマンの葉に、同じ光量子束密度の、青色、緑色、赤色の単色光で光阻害を与え、葉の各部分で光阻害の度合いを比較した。通常の蛍光法では葉の表面近くの情報しか得られておらず、葉全体の光阻害の度合いの代表値にはなり得ないことが明らかになった。葉の表面付近は青色光で光阻害を与えたときに、最大の光阻害を示した。次に大きな光阻害を示したのは赤色光で、緑色光は最小であった。また、緑色光による光阻害は葉の裏側にまで及んだ。光阻害の二つの説(マンガン説と過剰エネルギー説)の検証にも有効であり、得られたデータは、これらの二つのメカニズムが働いていることを示している。 3)葉の微小部分や切片の分光学的な測定が可能な積分球を作成し、透過、反射スペクトルなどを測定した。組織の形態の違いが分光学的性質に及ぼす影響を検討した。
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Research Products
(4 results)