2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21657008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木暮 一啓 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授 (10161895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 昌彦 東京大学, 海洋研究所, 助教 (10242174)
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Keywords | 海洋細菌 / 微小粒子 / 捕獲 / 原子間力顕微鏡 / 人工磁性ビーズ |
Research Abstract |
細菌による粒子捕獲機能とは、海洋に生息する細菌群集が数十から100nm程度までの微小粒子をその表面に保持する能力を示し、我々の研究によって初めて提案された概念である。これまでその実態を調べるために、海水中に人工磁性ビーズを添加し一定時間培養後、磁石で集められる細菌群集を捕獲細菌とし、解析してきた。培養時間中に添加した粒子を一定数以上保持した細胞は磁性を帯びて回収される。しかし、この方法は捕獲の潜在的能力を持つ細菌を集める方法であり、実際に粒子捕獲に関わっている細菌を必ずしも集められるわけではないし、1細胞あたりどの程度の粒子が捕獲されるのかも不明である。このため、天然の細菌群集の捕獲の生態的意味を明らかにするには不十分である。そこで、21年度は、メソコズム、およびマイクロコズムを用いたインキュベーション実験を行い、人工磁性ビーズによる方法に加えて顕微鏡および原子間力顕微鏡での観察を組み合わせて細菌群集、海水中の微小粒子、捕獲されている微小粒子の数とサイズの測定を行った。その結果、菌体上の粒子数は数時間から半日程度の時間スケールで大きく変動していくこと、人工磁性ビーズで捕獲される細菌数は藻類の増殖フェーズに併せて変動し、おおむね藻類の数がピークを越えた後に一時的に多くの細菌が捕獲されること、などが明らかにされた。現在、詳細な結果を解析中であるとともに関連したデータの論文執筆を行っている。
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