2010 Fiscal Year Annual Research Report
「働きバチ」の起源~人為的操作で育成した繁殖劣位個体による検証~
Project/Area Number |
21657010
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮永 龍一 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40335550)
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Keywords | 真社会性 / カースト / ワーカー / コハナバナ科 |
Research Abstract |
本研究は,ハナバチ上科の単独性コハナバチにおいて「働きバチ」を人為的に育成することにより,社会性昆虫の最大の特徴である「カストシステム」の起源を明らかにすることを目的としている.コハナバチ類の原始的な真社会性(母娘共存型カスト社会)では,.働きバチカストに属する娘バチの体サイズが母バチよりも小さい傾向にある.本研究では,基本的には単独性種のフタモンカタコハナバチ(以下,フタモン)を材料とし,育房内の幼虫餌量を調整する実験操作から人為的に小型メスを育成することを計画している.当該年度は,大学構内の温室に設営した地中営巣性ハナバチ用の巣床(ビーベッド)においてフタモンを飼養した.閉鎖的環境下においてハナバチ類を飼養するには,その活動期間中,数多くの餌資源植物種を供給する必要がある.当該年度は適切な植物種の選抜を行うとどもにその利用方法を改善することによって,このプロセスを簡略化することに成功した.従来少なくとも15種を必要としていた餌資源植物が,現在では7種で通年の飼養が可能となった. ハチの体サイズを人為的にコントロールするため,育房内の幼虫餌量の調整が可能な「体サイズ操作用人工巣」を開発し,これを用いてハチの飼養を行った.当該年度は猛暑により温室内の気温が異常上昇し,ハチの育子活動が早期に終結した,このため目的とした小型メスの育成には至らなかったが,操作に必要な飼養技術の改良を行うことができた.
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