2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21657013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 昌彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20159601)
|
Keywords | シグナル伝達 / シアノバクテリア / 光受容体 / 細胞間相互作用 / 線毛 / 細胞運動 / 走光性 / 細胞間シグナル伝達 |
Research Abstract |
シアノバクテリアの細胞間相互作用を、走光性の線毛運動によって評価した。当初の計画に従って、運動解析がしやすい好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus vulcanusの運動性の評価を試みたが、顕微鏡観察ができる温度範囲では高温でみられる線毛運動を再現できなかった。そこで、常温性のSynechocystis sp.PCC 6803を用いて、運動解析を細胞レベルで行った。細胞運動の経時追跡により、近接した細胞が運動しやすいこと、運動した細胞は小集団を形成し、さらに運動性が促進された。また、運動性集団が非運動性細胞を取りこむことで、運動性を回復させた。これらは細胞表層の線毛による細胞間相互作用が細胞運動に必須であることを示している。なお、Synechocystisの細胞は小型球菌のため、個々の細胞の極性と光刺激による運動制御は成功しなかった。 Synechocystisの細胞を寒天プレートに滴下直後は、個々の細胞は活発な運動を示したが、やがて数時間運動が低下し、その後再び回復した。どの場合も、個々の細胞はランダムな間欠運動を示したが、統計的には明らかな走光性を示した。 上で述べたSynechocystisの細胞運動は寒天濃度に依存していた。つまり、低濃度寒天プレートでは、個々の細胞がランダムな間欠運動を示したが、高濃度寒天プレートでは個々の細胞運動は抑制され、細胞集団の運動が顕著であった。これは、個々の細胞の運動制御と細胞間シグナル伝達による運動制御の両方で調節されていることを示している。
|
Research Products
(15 results)