2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオモルフの自律性から探る葉緑体二次共生藻類の成立過程
Project/Area Number |
21657018
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本村 泰三 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 健一郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30282198)
長里 千香子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (00374710)
|
Keywords | オルガネラ / 核 / クリプト藻 / クロララクニオン藻 / 細胞周期 / 自立性 / DNA合成 / 葉緑体二次共生 |
Research Abstract |
葉緑体二次共生植物(藻類)であるクリプト藻とクロララクニオン藻では、葉緑体となった真核藻類の核の名残りであるヌクレオモルフが観察できる。昨年度は、海産クリプト藻Pyrenomonas helgolandiiについて葉緑体・ヌクレオモルフ・核のDNA合成時期・分裂時期を特定した。その結果は、ヌクレオモルフは1回だけのDNA合成をホストの核分裂直前の2-4時間の間に行うという極めて真核的なものであった。本年度はクリプト藻とは系統が異なるクロララクニオン藻において同様に調査する目的で、Partenskyella glossopodiaの核分裂について電子顕微鏡観察を行った。本種の直径は1.5-3μmと極めて小さく、核とピレノイドを持たない葉緑体が1個ずつという単純な構造であるために連続切片による観察が容易である。その結果、まず葉緑体が分裂し、次にヌクレオモルフが分裂し、細胞にホスト核が分裂することが明らかになった。また、今回の観察と今までの報告からクロララクニオン藻内での核分裂の多様性も示された。次にBrdUの取り込み実験を行ったが、クリプト藻Pyrenomonas helgolandiiと異なり本種ではBrdUの取り込みが確認できなかったためヌクレオモルフにおける正確なDNA合成時期の特定はできなかった。しかし、ホスト核とヌクレオモルフの分裂時期を考えるとクリプト藻の場合と同様に真核的なDNA合成制御を行っているものと推察できた。
|