2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症及び発癌機構の解明を目指した直鎖状ポリユビキチン鎖検出系の構築
Project/Area Number |
21657028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00212069)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / バイオテクノロジー / 細胞・組織 / 生能機能利用 |
Research Abstract |
タンパク質のユビキチン化修飾はタンパク質分解、シグナル伝達、DNA修復など多彩な細胞機能発現に関連する。ユビキチン修飾が多様な細胞機能発現に対応可能な要因は、ユビキチンはリン酸化など低分子の修飾と異なり、76残基(8.6kDa)のタンパク質であり、ユビキチンが数珠状に連結したポリユビキチン鎖を形成できることが大きく寄与している。ポリユビキチン鎖のうち、Lys48を介したものはタンパク質分解シグナルとして機能するが、Lys63を介したポリユビキチン鎖はシグナル伝達やDNA修復など非分解シグナルとなる。我々はLys残基側鎖ではなくユビキチンのN末端α-アミノ基を介する全く新しいタイプの直鎖状ポリユビキチン鎖を形成するユビキチンリガーゼを同定し、これが免疫制御や炎症に重要な転写因子であるNF-κBの活性化に必須であることを明らかにした(Nature Cell Biol, 2009)。本研究課題では直鎖状ポリユビキチン鎖の検出系の構築を目的に、各種直鎖状ポリユビキチン鎖特異的抗体の作製を行った。今回、直鎖状ポリユビキチン鎖に対するペプチド抗体やファージディスプレイ法を用いた抗体スクリーニングを行い、ユビキチンのC末端6残基とN末端6残基を2回含む24-merのペプチド抗体が直鎖状ポリユビキチン鎖を検出可能な抗体であることが解った。さらに、Western blotの際にユビキチンのフォールディングを完全変性させるためにニトロセルロース膜に転写後、121℃30分のオートクレーブ操作を加えることで抗体の反応性が向上することを見いだした。この方法を用いて炎症性サイトカイン刺激を加えた細胞内NEMO(NF-κB essential modulator, IKKγ)の直鎖状ポリユビキチン化が同定された。この抗体は今後のNF-κB経路の解析に重要なツールとなると考える。
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Research Products
(7 results)