2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞で発見した成熟mRNAの再スプライシング現象の検証とその制御機構解明
Project/Area Number |
21657033
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
亀山 俊樹 Fujita Health University, 総合医科学研究所, 助教 (60298544)
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Keywords | 成熟mRNA再スプライシング / 癌細胞 / スプライシング / RT-PCR / RNase R |
Research Abstract |
スプライシングを受けた成熟mRNAは本来直ちに核外に輸送されタンパク質翻訳の鋳型にならなければならない。しかしながらある種の癌細胞において、本来抑制されるべき成熟mRNAに対する再スプライシングが起きてしまう現象を見いだしたのである。本研究の目的はこの再スプライシング現象の厳密な検証と、正常細胞には存在し癌細胞で失われていると推測される再スプライシング抑制因子を探索する事である。今年度は再スプライシング現象の検証を以下の実験に行った。(1)既にスプライシングが完了している成熟mRNAと同等と考えられる外来cDNAを強制発現すると、外来cDNAに由来するイントロンのないmRNAからも異常スプライシング産物ができることを確認した。次に、(2)細胞内在性の全RNAを生成し、RNaseRにより直鎖状のmRNAを完全に除去した後、ブランチ部位を挟んだプライマーセットによるRT-PCRによりmRNA由来すなわちエクソンの配列のみを持つ、投げ縄状RNAスプライシング中間産物を検出した。最後に(3)一回のマルチプルエクソンスキッピングと潜在的スプライス部位が同時に起こる「直結異常スプライシング」も『成熟mRNA再スプライシング仮説』の対立仮説としてその可能性が考えられるため、その検証を行った。RNaseRによって直鎖状のmRNA前駆体を完全に除去した後RT-PCRを行った。もし再スプライシング仮説が正しければ、検出できる環状RNAは通常のスプライシングによって生じるイントロンの配列のみからなる産物と再スプライシング由来のもの(エクソンの配列のみ)だけが検出できるはずである。実際エクソンの配列のみだけがRT-PCRで増幅され直結異常スプライシングが起こるならば生じるはずのイントロンーエクソンーイントロンの構造を持つ巨大投げ縄状RNAは検出できなかった。これは「直結異常スプライシング」に良って生じる巨大な投げ縄状RNA中間体が無いことを示しており、癌細胞で『成熟mRNA再スプライシング』が起きている事を検証出来た。
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