2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞で発見した成熟mRNAの再スプライシング現象の検証とその制御機構の解明
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21657033
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
亀山 俊樹 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60298544)
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Keywords | 成熟mRNA再スプライシング / 癌細胞 / スプライシング / RNage R / TSG101 / TP53BP2 / FHIT |
Research Abstract |
昨年度の研究により、(1)スプライシングが完了している成熟mRNAと同等と考えられる外来cDNAを強制発現し、外来cDNAに由来するイントロンのないmRNAからも異常スプライシング産物ができることを確認した。次に(2)細胞内在性の全RNAを生成し、ブランチ部位を挟んだプライマーセットによるRT-PCRによりmRNA由来すなわちエクソンの配列のみを持つ、投げ縄状RNAスプライシング中間産物を検出した。最後に(3)一回のマルチプルエクソンスキッピングと潜在的スプライス部位が同時に起こる「直結異常スプライシング」も『成熟mRNA再スプライシング仮説』の対立仮説としてその可能性が考えられるため、その検証を行った結果、「直結異常スプライシング」に良って生じる巨大な投げ縄状RNA中間体が無いことが明らかとなった。以上3種の異なる実験結果から癌細胞で『成熟mRNA再スプライシング』が起きている事を検証出来た。しかしながら、この現象はTSG101遺伝子のみにおこる特殊なものなのではないかという批判が多く寄せられてきた。それに答え、『成熟mRNA再スプライシング』現象が、各種癌細胞で普遍的に起きてしまうことを示すためTSG101遺伝子以外で同様な『成熟mRNA再スプライシング』現象が起きるかを探索した。その結果、Fragile histidine triad(FHIT)遺伝子、TP53BP2遺伝子においても『成熟mRNA再スプライシング』現象が起きることを発見した。以上のことから、癌細胞で『成熟mRNA再スプライシング』は普遍的に起きる現象であり、正常細胞には備わっているが癌細胞では失われる成熟mRNAがそれ以上スプライシングされることを抑制するような機構が存在することがさらに強く示唆された。
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