2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒラマキガイを用いた冠輪動物における順遺伝学モデルシステムの構築の試み
Project/Area Number |
21657060
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松野 健治 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 教授 (60318227)
|
Keywords | ヒラマキガイ / Biomphalaria glabrata / 冠輪動物 / 巻貝 / モデル動物 / 突然変異 / 遺伝的スクリーニング / 順遺伝学 |
Research Abstract |
モデル生物を用いた順遺伝学的な解析方法は、発生学、基礎医学などの研究に有効である。しかしながら、順遺伝学を用いた研究が実施できるのは、ごく限られた動物種においてのみである。特に問題なのは、冠輪動物には、順遺伝学的なアプローチを用いることができる種が存在しない点である。 この問題を解決するために、冠輪動物の軟体動物門に属するヒラマキガイ(Biomphalaria glabrata)を順遺伝学のモデル生物の候補として選び、突然変異誘発、表現型のスクリーニング、突然変異の責任遺伝子同定を行う。これらのアプローチによって、ヒラマキガイを遺伝学のモデル動物とするための基盤を整備するのが本研究の目的である。 平成21年度の研究では、Biomphalaria glabrataを用いて、突然変異の誘発と、突然変異系統を樹立する方法を確立するためのパイロット実験を実施した。Biomphalaria glabrataを突然変異誘発物質で処理した個体(P)から、約50のF1個体を得た。F1を、一個体ずつ飼育して自家受精させ、それぞれからF2の個体(F2ファミリー)を得た。F2ファミリーの個体の1/4は、誘発された突然変異のホモ接合体であると予測できる。約10のF2ファミリーの胚を観察した結果、5つのF2ファミリーにおいて発生異常を示す致死個体を見出した。これらのファミリーは、発生異常を示す劣性致死突然変異の系統であると考えられた。また、現在、発生異常を示したF2ファミリーのうち、表現型を示さないヘテロ接合体を自家受精させ、得られたF3においてもF2と同じ表現型がみられることを確認している。
|