2009 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度突然変異発生マウス系統を利用した実験室内哺乳類進化実験モデル系の構築
Project/Area Number |
21657062
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内村 有邦 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特任研究員 (20513063)
|
Keywords | 進化 / 突然変異 / マウス遺伝学 |
Research Abstract |
生物進化は長い時間の中で生じてきた現象であるため、その過程を直接的に解析を進めることは難しい。私たちは、進化を生じさせる源である突然変異の発生率を人為的に上昇させ、突然変異の発生や淘汰の速度を早めることにより、哺乳類の進化過程を部分的に実験室内で再現する新たな実験モデル系の構築に取り組んでいる。これまでに、高頻度突然変異発生系統(DNAポリメラーゼ改変マウス)を作製し、それらを複数の系統に分け、兄妹交配により繰り返し継代を行うことで、突然変異蓄積系統の作出を進めていた。 本年度は、それらの突然変異蓄積系統の継代を継続することにより、系統中のマウスの表現型にどのような変化がみられるのか解析を進めてきた。現在までに最高で14世代の継代を進めてきたが、継代を重ねた系統からは、水頭症や毛色異常などが多発するなど、様々な表現型異常が観察されるようになってきた。特に興味深い表現型を示すヒト可聴音域で歌うマウスでは、原因変異の候補として塩基置換型の突然変異が同定され、合指症のマウスでは原因遺伝子座の同定に成功した。また、in vivoで突然変異率の上昇の程度を解析するため、トランスジェニックマウスとの交配を行った。 このように突然変異率を高めたマウスの継代を行うと10世代前後から徐々に系統の表現型が変わってくることが観察されてきた。長期的な継代の影響を解析することは、進化の問題を考える上で欠かせない,本研究で得られた知見は、哺乳類の進化実験モデル系を確立するためにきわめて重要である。
|