2010 Fiscal Year Annual Research Report
恒常性維持負荷度を指標とした生活習慣と全身的協関の相関研究
Project/Area Number |
21657066
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
曽根 良昭 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (60145802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 洋介 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 教授 (70325637)
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Keywords | 恒常性維持負荷度 / 生活習慣 / 全身的協関 / 伝統的生活習慣 |
Research Abstract |
生活習慣が人の健康寿命・健康状態に影響することを客観的生理指標による検討は少ない。そこで我々は人が環境のさまざまなストレスに適応してその内的恒常性を保つために払われる全身的な負荷度を示す恒常性維持負荷度(Allostatic Load、アロスタティックロード、以下AL)を健康状態の指標として、伝統的生活習慣の継続性が異なる長崎県の離島に住む55歳以上の住民のALを測定、比較することにより社会・文化的要因が人の全身的協関と健康寿命・健康状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的として本研究を行った。今年度はアメリカ・オハイオ州立大学人類学教室のクルーズ博士らとともに長崎県五島市崎山地区にて96人(男性48人、女性48人、67.9±8.6歳)の恒常性維持負荷度、ADL、食品摂取状況の調査を行った。現在分析を終えたところでは、男性全体のAL値は2.77±1.56、女性全体のALは2.46±1.50でこの調査・研究に先だって行った同じ長崎県の肥前大島でのそれぞれの値(3.18±1.67、2.69±1.45)に比較して小さく、崎山地区の調査対象者が肥前大島地区の対象者に較べ全身的な負荷度が少ないことが示唆され両地区の伝統的生活習價の違いがAL値に影響しているものと考えられる。更に崎山地区での男性、女性のAL値を69歳未満、70歳以上で分けると、それぞれ2.79±1.52、2.75±1.65(男性)、2.46±1.48、2.45±1.57(女性)となり、崎山地区のような伝統的生活習慣の継続する地域では加齢による全身的な負荷度の増加がほとんど無いことが示唆される。これらのことから恒常性維持負荷度が生活習慣と全身的協関の相関を測る指標として用いることができることが明らかになった。
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