2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草場 信 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (20370653)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 植物 / 生理学 / 老化 |
Research Abstract |
ダイズには細胞質遺伝の青豆突然変異cytGが知られているが、これはクロロフィル分解に異常を持つ突然変異体であり、老化葉も緑色を保つ。他の植物では細胞質遺伝のstay-green突然変異体は知られていない。CYTG遺伝子は葉緑体ゲノム上にコードされることが予想されるが、葉緑体ゲノムの配列情報からは候補遺伝子の予測は困難である。そこでcytG葉緑体ゲノムの全シーケンスと野生型との比較によるCYTG遺伝子の同定を試みた。 まず、細胞質遺伝のstay-green突然変異体「平床豆」から全DNAを抽出し、既に報告されているダイズ葉緑体ゲノムシーケンスを参考に葉緑体ゲノム断片をPCRにより増幅した。PCRプライマーはある程度の重複を含みつつ7kb程度のlong PCR産物で葉緑体全ゲノムをカバー出来るように設計し、プライマーウォーキング法で塩基配列決定を行った。7kbでは増幅しない領域は1-2kb程度の断片として増幅し、同様に塩基配列決定を行った。その結果、ダイズ葉緑体ゲノムの約8割に相当するシーケンスデータを得た。その塩基配列から平床豆の葉緑体ゲノムはタイプIIに属すことが確認できた。葉緑体ゲノムのリファレンス配列はタイプIIIのPI437654であるため、多くの塩基配列の差が見いだされた。多くの変異は遺伝子間領域にあったが、そのうちのひとつは遺伝子領域にある6塩基の挿入であった。この挿入のため、この遺伝子は途中で野生型とは異なる1アミノ酸が加わった後、終始コドンによりORFが終結しており、総じて言えば、truncateされた形になっていた。現在この遺伝子がこの細胞質遺伝の責任遺伝子と考え、野生型遺伝子に葉緑体移行シグナルを付与した形で遺伝子導入することによる相補性検定を試みている。
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