Research Abstract |
蚊に含まれる元素については微量元素に限らずほとんどの元素について含有量等の知見がない。従って本研究では、本法の有効性評価のための基本データの蓄積を第一の目標とした。 1)蚊に含まれる元素の測定と野外採取蚊における元素特性の解明 実験室内で飼育した蚊に対して、まず機器中性子放射化分析を用いてNa, K, Ca, Sc, Fe, Co, Zn, Br, Rb, Sr, Cs, Ba, Cr, As, Zr, Sb, La, Ce, Sm, Eu, Yb, Lu, Ta, Th, Uの25元素について定量を試みた。 その結果、ほとんどの蚊がNa~Baの12元素が共通であり、一部の蚊からAuも検出された。 2)一度に処理する蚊の頭数について検討した結果、1頭で測定した結果は他の頭数の場合と比べて元素量が大きくなる傾向が認められ、測定時間は試料重量が少ないと長くなるため、1頭での測定は効率的ではないと判断した。蚊の大きさによる違いについては1頭あたりの元素量を翅長で除し1mmあたりの1頭元素量として評価を継続中である。餌などの飼育条件を変えて室内で飼育した蚊について同様に放射化分析を行ったが、結果は解析中である。 3)採集地別の蚊による違い等を明らかにするために、18の異なる地域で採集された蚊の測定値をクラスター分析した。クラスター分析は1頭あたりの元素量を正規化しウォード法によって行い、Na, K, Brの3元素結果は18種類を4群に分けられる可能性が高いことを示唆した。Na, K, Br, Ca, Fe, Zn, Rb, Sr, Baは比較的容易に測定可能な9元素による解析であり、3群に分けられる可能性が高った。また、Na, K, Br, Ca, Fe, Zn, Rb, Sr, Ba, Cr, Sbの11元素では5群に分けられる可能性が示唆された。これらの結果から、単発元素の扱いが群別のポイントになる可能性があると思われる。 4)野外採集蚊における安定同位体比の特性解析は解析中である。
|