2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄を使う植物フェントン法で、農薬フリー安心作物を作る
Project/Area Number |
21658022
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
我妻 忠雄 Yamagata University, 農学部, 教授 (70007079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生井 恒雄 山形大学, 農学部, 教授 (70124609)
森川クラウジオ 健治 山形大学, 農業食品産業技術研究所・野菜茶業研究所, 主任研究員 (70396464)
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Keywords | 環境技術 / 有害化学物質 / 植物 / フェントン反応 / 有機鉄資材 |
Research Abstract |
研究代表者は、キク科の水田雑草タウコギが、pH5のFe^<2+>含有溶液中でアトラジンを分解できることを見出した。そこで、畑条件で、この反応を利用した農薬類分解法を確立するための第一弾として、各種鉄資材の比較検討を行うことを目的とした。 [結果] 1 植物根H_2O_2濃度:調査した全てのキク科植物で例外なく1mM以上が、また、全てのシソ科植物でも1mMよりも低濃度で認められた。他の科では、ゴマ科、ツルムラサキ科などにも同程度検出された。一方、アカザ科、アブラナ科、イネ科、ウリ科、セリ科、ナス科、ユリ科などには全く検出されなかった。 2 in vitroアトラジン分解:NTA鉄で60%、コーヒー粕鉄で40%、腐植酸鉄で40%、ピコリン酸鉄で30%の順に、分解された。 3 植物によるアトラジン吸収・分解:(1)植物による吸収は、キンセンカ、マリーゴールドなど>>シュンギク、ベニバナ、キュウリ、トウモロコシなどであった。(2)植物根フェントン反応による最大分解は、マリーゴールドでは腐植酸鉄で、キンセンカではNTA鉄で500μg/gDW根/日、シュンギクでは腐植酸鉄で300、サルビアではNTA鉄で200、タウコギではピコリン酸鉄で180、ベニバナではコーヒー粕鉄で140であり、用いる鉄資材によって分解効率が異なっていた。一方、キュウリ、ゴマ、シソ、トウモロコシなどでは、分解が認められなかった。 [結論] 以上の結果、キク科植物根は含まれる高濃度の過酸化水素と、施用された鉄資材とのフェントン反応で、畑状態においてもアトラジンを分解できることが明らかとなった。この技法は、世界的に全く新規な発見であり、将来圃場の土壌の耕作条件を生かしたままで、圃場中の有害化学物質を除去し、安全な作物を生産することに道を切り開くものであると考えられる。
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