2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658030
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 渉 Nagaoka University of Technology, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (40292172)
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Keywords | 菌類 / ゲノム / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究は、糸状菌Trichoderma reeseiをモデル生物として同一遺伝子から転写される多型mRNAの生理機能の解明を目的としている。21年度は多型mRNAの選抜、転写産物の同定を行うために以下の研究を行った。 まず、様々な培養条件下で得られたRNAの転写開始点を次世代シーケンサーを用いて同定した。その結果、ひとつの遺伝子から多様な転写産物が生じている事を示唆するデータが得られた。次に、ゲノムデータベースで明らかとなっている9147遺伝子すべてについて、遺伝子内部の配列を10塩基ずっずらして作製した60bpのオリゴヌクレオチドを基板上に配列させたDNAチップを作製し、様々な培養条件下で得られるRNAを用いてタイリングアレイ解析を行った。 T.reeseiはある培養条件下でのみ種々のセルラーゼを大量に分泌生産するという特性を持っている。これらセルラーゼ遺伝子の誘導発現メカニズムと、多型mRNAの間の相関は今まで明らかにされたことがない。そのため、様々なセルラーゼ誘導条件下で得られたRNAを用いてタイリングアレイ解析を行った。このアレイでは、プロモーター領域の転写開始点を1塩基単位で明らかにできるように専用に設計したものである。その結果、誘導条件下ではすべてのセルラーゼ遺伝子の転写産物のDNAチップに対するハイブリダイゼーションパターンは同一であった。さらに詳細に解析したところRNAのハイブリダイゼーションパターンに偏りが生じていた(同一遺伝子内の一部にのみ特異的にハイブリダイゼーションする)ことから多型mRNAの存在が示唆された。またこれらの解析から、現在まで未知であった種々のセルラーゼ遺伝子の転写開始点上流に位置する基本転写因子の結合部位を推定することができた。
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