2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリトランスジェニック技術による脳の性差形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
21658039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 信司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00168056)
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Keywords | 脳神経 / 性的二形性 / トランスジェニック / 性ホルモン / ウズラ |
Research Abstract |
ニワトリやウズラは性行動の解析に用いられ、脳内視索前野付近にオス・メスで大きさの異なる神経核が存在する。我々は鳥類トランスジェニック技術を用い、アロマターゼ遺伝子をウズラやニワトリに導入することにより、二型核形成との相関を解析しようと考えた。前年度迄に作製し、動物培養細胞で発現特異性を確認したシナプシン1及びネスチンプロモーターによりアロマターゼを発現するレンチウイルスベクターをウズラ胚盤葉に感染し、キメラ個体の作製を試みた。ヒトシナプシンプロモーターでアロマターゼが発現するpSicoR/hsyn/Aro-mycならびにマウスネスチンエンハンサーで神経特異的発現が可能なpSicoR/mnes-tk/Aro-mycベクターを10^8cfu/mlの高濃度に調製し、ウズラ胚盤葉に卵殻に開けた穴より感染し、穴をシール後7日間培養した。それぞれのベクターを8個づつの卵に感染した。7日間培養後肝臓及び脳を分離、DNA及びRNAを調製した。pSicoR/mnes-tk/Aro-mycの場合7個の胚に導入遺伝子が確認され、その細胞あたりのコピー数は0.002~0.025と個体差が大きかった。一方、pSicoR/hsyn/Aro-mycの場合、すべての胚から導入遺伝子が検出されコピー数は0.0002~0.0035であった。RT-PCRにより、アロマターゼmRNAの発現を調べた所、ネスチンプロモーターでは5個体で発現が確認されたが、2個体では肝臓での発現が高く、3個体では脳にのみ発現が見られ、組織特異性という面から疑問が残った。一方、pSicoR/hsyn/Aro-mycでも5個体で発現が見られたが脳でのみ発現が見られたのは2個体であった。この実験では必ずしもクリアーな組織特異性が見られなかったが、原因としてウイルスベクターの感染効率の悪さなどが想定される。今後この点を改良した後、アロマターゼの脳のオス・メス特異的形態の形成に関する役割りを証明する予定である。
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