2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 助教 (60270899)
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Keywords | 菌根菌 / 胞子 / 休眠 / 荒廃地 / 多様性 |
Research Abstract |
菌根菌は樹木の成長や定着を促進する共生微生物である。多くの樹木は菌根菌に養分吸収の大部分を依存しており、菌根菌と共生しなければ樹木は全く成長できない。一般に、森林土壌は菌根菌の菌糸体が普遍的に分布している。森林が安定している状態ではこうした菌糸体が主要な感染源として更新する実生に対して容易に感染できる。しかし、樹木が伐採や焼失すると、菌根や菌糸体も死滅する。こうした攪乱の後には土壌中の埋土胞子が主要な感染源となるものと考えられる。本研究ではこうした菌根菌の埋土胞子の密度、種組成、休眠期間などを明らかにすることを目的とする。 本年度は富士山火山荒原の様々な場所、高知県や三重県、奈良県のトガサワラ混交林などから200以上の土壌サンプルを採集し、そこに含まれる菌根菌の埋土胞子を調べた。埋土胞子を直接抽出するのは難しく、非効率的であるため、宿主樹木実生を採取土壌に植栽し、埋土胞子によって実生に菌根を形成させることで、休眠状態の胞子の存在を調べた(釣り上げ法)。ミヤマヤナギとカラマツを富士山の土壌に、アカマツとダグラスファーをトガサワラ混交林の土壌にそれぞれ植栽し、菌根の形成の有無とともに、DNA解析による菌種の同定を行った。現在までに得られた結果では、富士山火山荒原の裸地や宿主樹木の無い場所で採取した土壌中には埋土胞子が極めて少ないこと、宿主樹木から採取した土壌中には数種の優占菌種が存在することなどが明らかにされた。今後はDNA解析による菌種同定をさらに進め、菌根菌の埋土胞子に関して普遍的な理解を目指す。
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Research Products
(1 results)