2009 Fiscal Year Annual Research Report
虫こぶ形成昆虫における生物多様性-生態系機能関係の解明
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21658056
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
尾崎 研一 Forestry and Forest Products Research Institute, 北海道支所, 主任研究員 (50343794)
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Keywords | 昆虫 / 林学 / 生態学 / 植物 / 虫こぶ / 生態系サービス / 生態系機能 |
Research Abstract |
森林を対象にして、生物多様性が低下すると生態系機能も低下するという関係(多様性-生態系機能関係と呼ぶ)を調べた研究はほとんど行われていない。これまでに多様性-生態系機能関係が明らかにされない原因として、個体数やバイオマスが少ない低密度種の存在がある。低密度種は群集の構成種の多くを占めるが、個々の種が生態系に及ぼす影響が小さいため、その存在は多様性-生態系機能関係を明らかにするのを妨げてきた。本研究は、低密度種として虫こぶ形成昆虫を対象とすることで、その多様性-生態系機能関係を明らかにすることを目的とする。エゾマツおよびケヤキ苗木に虫こぶを形成する昆虫を、初春の虫こぶの形成前に実験的につけ加えたり除去することによって、虫こぶ密度を実験的に操作可能な方法を考案した。しかし、虫こぶを形成する昆虫の種数を操作するのは供試虫の確保や虫こぶ形成時期の違いにより困難であったため、来年度再度行う必要がある。考案した方法を用いて虫こぶ密度の異なる苗木を作成し、虫こぶの形成過程とその中の幼虫の発育を調査した。その結果、エゾマツカサアブラムシでは、虫こぶは約1ヶ月で完成するが、幼虫はすべての齢期間が一様に長いため発育に3ヶ月必要であることが分かった。このような夏眠を伴わない発育遅延は、昆虫ではこれまでに知られておらず初めての発見である。虫こぶが形成された落葉落枝を採取し、風乾して重量を測定した後、サンプルをリターケースに入れて林床に設置した。その後、経時的に分解過程を観察した。エゾマツに虫こぶを形成する昆虫の種構成と種数を国内と韓国で調査した結果、韓国は日本よりも種数が少ないことが分かった。
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Research Products
(3 results)