2010 Fiscal Year Annual Research Report
力学的環境下における樹木細胞壁形成の分子機構の解析
Project/Area Number |
21658065
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 宇外 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70337707)
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Keywords | 森林工学 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 樹木細胞生理 |
Research Abstract |
平成22年度は、力学負荷を受けた植物培養細胞におけるphenylalanin ammonia-lyase(PAL)およびcinnamoyl CoA reductase(CCR)の遺伝子発現について、定量解析を行った。PAL遺伝子の発現量は短時間の力学負荷で増加し、CCR遺伝子のそれは、比較的長い時間の力学負荷によって増加した。力学負荷を受けた培養細胞における二次代謝物の堆積の有無を調べるため、顕微鏡による観察を行った。比較的長時間の力学負荷を与えた培養細胞では、負荷直後にはリグニンの堆積が認められなかったが、その後にリグニンが堆積していくことが示された。以上から、植物細胞に対する力学的な刺激は、細胞壁の木化を誘導する重要な因子であることが示された。また、細胞壁二次代謝物の生合成は、比較的長時間の力学負荷によって促進され、その負荷時間に大きく依存すると考えられた。 Secondary wall-associated NAC domain protein1(SND1)を含む5種の二次代謝転写因子の遺伝子発現についても、同様に定量解析を行った。いずれも発現量が少なく、PAL遺伝子やCCR遺伝子の発現との関係が明確に示されなかった。これについては、再測定の必要が示された。 力学負荷を受けた植物培養細胞におけるcellulose synthase(CesA)の遺伝子発現について、定性的な解析を行った。二次細胞壁の形成に関与する3種のCesA遺伝子の発現を調べたが、いずれも力学負荷による明確な発現の増加は認められなかった。これについては、より詳細に定量発現解析を行う必要があると考えられた。
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Research Products
(2 results)