2009 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の生殖系列を規定する細胞質因子の解析と分離に関する研究
Project/Area Number |
21658066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山羽 悦郎 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60191376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 泰三 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
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Keywords | 始原生殖細胞 / 生殖細胞質 / vasa / キンギョ |
Research Abstract |
(1)キンギョPGCを採取し、電子顕微鏡標本を作製し観察した。蛍光を発する細胞は、中心部の核、細胞小器官の分布する層、及び細胞外周の凹凸が顕著な斑模様を呈する層の3層構造から構成されていた。これらの特徴は、10、15、25体節期の3つの発生段階の細胞で全てに共通して観察された。したがって、これらの細胞が一種類の細胞に属することを示唆した。 (2)細胞外周に観察された斑模様を呈する層は、その内部にミトコンドリアや小胞体といった細胞内小器官を含まなかった。これは、Fundulusの胚細胞で観察される胞状仮足・指状仮足で見られるのと同様であった。細胞周囲が凹凸に富むことと合わせて、細胞運動に関わる構造と考えられた。 (3)超遠心処理でキンギョ未受精卵は5層の細胞質成分に分画化された。光学顕微鏡観察の結果、5層の細胞質成分は、固定・切片作成時に消失した相対位置の0~8、65~100の層を除き、均質な層(相対位置8~10、10~15、25~64)と複数の成分が混在している層(15~25)の2種類が確認できた。 (4)細胞質分画の電子顕微鏡観察の結果、固定・切片作成過程で消失した相対位置最上部0~8、93~100の最下部を除き、空胞、小胞体、ゴルジ体は、主に相対位置93~64の上層に、ミトコンドリアは相対位置64~27の中層に、そして相対位置24~17の下層には巨大な膜成分とそれに付随した電子密度の高い構造体が確認された。また、相対位置8~17には特徴的な細胞小器官は確認されなかった。 (5)細胞質分画へのvasa mRNA probeによるin situ hybridization行った結果、下層(相対位置27~17)でvasa mRNAに対してポジティブな反応が認められた。この、相対位置27~17に観察された高電子密度の構造体が生殖質に相当するものと推察されたが、確定はできなかった。
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