2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイアシ類の超音波反射特性の解明-カイアシ類の音響資源調査実現への第一歩として-
Project/Area Number |
21658068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向井 徹 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (60209971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 浩一 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, 研究員 (30372080)
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Keywords | 水中音響 / 魚群探知機 / カイアシ類 / ターゲットストレングス / 体内通過音速 / 体密度 |
Research Abstract |
音響手法を用いてカイアシ類の分布や量を推定するための第一歩として,音響基礎パラメータであるターゲットストレングス(TS)の測定に着手した。まず,設計ダイアグラムに基づき,カイアシ類のTS測定が可能な周波数を200kHz以上とし,ビーム幅を8.5度と選定した。これは既存の送受波器で実現可能であり,測定距離を1mとした。このように選定した周波数,ビーム幅,設定距離で既存のシステムにつなげ,各種テグスの音響反射を測定し,測定精度の検証を行ったところ,非常に微弱になると推測されるカイアシ類の音響反射を十分捉えられることがわかった。また,生きたカイアシ類を水槽に懸垂するに当たり,当初計画の人間の髪の毛ではなく,現存する最細の0.08号の釣り用テグスを用いることとした。この太さにおいても微弱な音響反射は認められたが,カイアシ類+テグス+背景ノイズの信号からテグス+背景ノイズの信号をコヒーレント減算することでカイアシ類のみの反射信号を得ることができた。この方法で,複数のカイアシ類について音響反射の予備測定を行ない,生きた状態でのTSの実測が可能であることが確認できた。平成22年度は平成21年度に構築したこれらシステムおよび手法を用い,いろいろな大きさのカイアシ類について本格的にTS測定を行い,カイアシ類のTSを明らかにしていく予定である。一方,生きたカイアシ類を用いて,その体内通過音速や生体密度の測定を行い,音響物理パラメータの収集を行った。平成21年度に購入予定であった標準マイクロホンと水中カメラは,既存のもので代用できることがわかったため,さらに一歩進み広帯域送受波器を試作し,送受信テストを行った。これにより当初実施予定であったカイアシ類のサイズ別の密度推定の可能性が出てきた。
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