2009 Fiscal Year Annual Research Report
水産資源研究における生物測定の過程に潜む心理ヒューマンファクターの実証
Project/Area Number |
21658071
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大西 修平 Tokai University, 海洋学部, 准教授 (00262337)
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Keywords | 生産効率 / 時間短縮 / 共同作業 / 判断の傾向 |
Research Abstract |
21年度の活動では、交付申請書に示したとおり、人のパーソナリティが水産資源動態と接する領域の探索を試みた。活動内容を四大別して示す。まず第一に、漁業現場での操業従事者へのヒアリングを通して、ヒューマンファクター(HF)となる可能性を探った。国内の沿岸漁業の中で小規模・機械化されていない形態、操業の効率性だけが重視されていない業種、海洋環境の条件が人のスキルを導き出す可能性のあるフィールド等々条件を設定し、寒冷地域で取材を行った。 特に魚体サイズを選別する際の基準、作業速度の調整のための要素を探そうとした。ヒアリングを通じ寒冷地では"魚体の触感"が測定と選別処理に効くHFと予想されるが、調査回数がまったく不十分で決定的な判断材料にならない。生産現場でのHFの探索調査は非効率的であった。第二に、数理モデルの可能性を探った。直接HFを探索する代案として、HFを付加したモデルを通してデータを解釈する発想である。生物のサイズ・測定における次元の解釈については、、生態学分野で従来の形や次元に束縛されないモデルが提唱されている。しかし既存データのモデルへの適合性は現時点で把握できていない。第三に、国内の研究者では扱っていない研究テーマであることから米国に赴き、生態学研究者と意見を交わしたが、やはりHFの扱いについては、十分な認識が得られず、直接HFを測定する価値についても理解が得られなかった。第四として、国内の他分野の研究でHFが関わる可能性を探った。その結果ゲーム理論による分析が、HFと水産資源研究を結びつける方法として最も現実的と考えるに至った。ゲーム理論で扱われるプレイヤ間の駆け引きの中に、おそらくHFの要素が潜在すると思われるが、やはりHFを直接抽出して管理する手順は難しく、ゲーム理論のような分析的手法の中でHFを仮説として扱う発想が実用的と結論付けた。
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