2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658073
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
奥村 裕 Fisheries Research Agency, 東北区水産研究所海区水産業研究部, 主任研究員 (80371805)
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Keywords | 色素 / 貝殻 / HPLC分析 |
Research Abstract |
アワビは、摂餌した藻類の色素により貝殻が着色すると考えられている。放流アワビは"グリーンマーク"と呼ばれ貝殻の一部が緑色になることが知られており、天然アワビにはない放流アワビ独特の特徴とされている。しかしながら、放流アワビの貝殻が緑色なのは、光合成色素のクロロフィルaやbによるものか、キサントフィル類など藻類の補助色素によるものか、それともフィコビリンなど色素タンパクによるものか詳細は知られていない。そこで、養殖アワビの貝殻から色素を分析し、検出された色素組成を基にアワビの貝殻が緑色になる要因を調べた。ブレンダーで粉砕した養殖アワビの貝殻から脂溶性色素を抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析を行ったところ、すべての植物が保持するクロロフィルa、配合飼料や珪藻、渇藻が保持するフコキサンチン、緑藻などが保持するクロロフィルbやゼアキサンチンが検出された。それ以外に、通常海水サンプル(植物プランクトン)からはほとんど検出されず、深所に生息する大型緑藻が保持するとされるシホナキサンチンが特徴的な色素として貝殻から検出された。一方、脂溶性色素抽出後の貝殻粉末から水溶性色素を抽出し、等電点電気泳動とタンパク用のHPLC分析を行ったところ、等電点電気泳動からは青と赤のバンドが検出され、HPLC分析から最大吸収波長約610nm、約550nmのフィコシアノビリン、フィコエリスロビリン様色素が検出された。以上より、"グリーンマーク"は種々の脂溶性色素と2種類の水溶性色素の混色であることが明らかとなった。
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