2009 Fiscal Year Annual Research Report
渦鞭毛藻の無毒変異メカニズム解明のための一細胞ライブラリーの構築
Project/Area Number |
21658075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長 由扶子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 助教 (60323086)
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Keywords | 水産学 / プランクトン / 麻痺性貝毒 / 無毒変異 / cDNAライブラリー |
Research Abstract |
本研究では世界的にも貴重な麻痺性貝毒生産渦鞭毛藻Alexandrium tamarense培養株から得られた無毒変異株における無毒化のメカニズムを解明するために、渦鞭毛藻の特殊性に由来する困難を克服する実験系を開発することを目的にしている。平成21年度は蛍光顕微鏡でのミトコンドリア遺伝子のin situ hybridizationでの検出と、一細胞での毒量分析法の確立を試みた。酢酸-メタノールによるコロロフィル除去、含水エタノールによる脱水、パラホルムアルデヒドによる固定で前処理した有毒株細胞とチトクロムB5'隣接領域で見いだされた有毒、無毒共通部分から設計した蛍光色素標識オリゴDNAをハイブリさせ、コントロールと比べて明らかに強度の高い蛍光を細胞質に検出した。蛍光化HPLC分析法によるC-toxin(C1及びC2)の一細胞毒量多検体分析法を確立し、C2で1.4fmol(S/N=2)までの検出が可能となった。2種類の原理の異なるカラムを連結してグラジエント分析する麻痺性貝毒3群(C-toxin群、GTX群及びSTX群)一斉分析を試み、良好な分離条件を確立したが、高感度分析のためにはグラジエントの際のベースラインの乱れを解消する必要があることがわかった。有毒株の一細胞毒量分布を調べたところ、通常分析による毒量付近の細胞以外に検出限界未満や平均値の16倍(700fmol/cell)高含量の細胞が検出され有毒株内の毒生産能多様性が明らかになった。
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