2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融新技術の農業金融への適用可能性に関する理論的・実証的研究
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21658076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉田 洋一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10125809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢坂 雅充 東京大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90191098)
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Keywords | ABL / マイクロファイナンス / 農業・農村金融 / 日本政策金融公庫 / 農業近代化資金 / 法人経営 / 出資事業 / スーパーL資金 |
Research Abstract |
研究の目的は、近年金融の分野で開発された技術が、日本の農業や農村に適用可能できるかどうかを理論的・実証的に探るというものである。この目的のもと、平成23年度では、在京の農業金融関連諸機関を訪問しデータの収集および聞き取りを行った。それらの機関には、政策金融公庫、農水省金融調整課、中央畜産会、農林中央金庫、同総合研究所が含まれる。また出資事業を担当しているアグリビジネス投資育成会社を訪問し意見交換を行った。更に農業・農村金融の現場をまわり、情報の収集に努めた。具体的には、栃木県(県庁、農業試験場)、宮城県(東北農政局、日本政策金融仙台支店)、山形県(山形県庁、公庫山形支店、農業信用基金協会)、JA、出資事業の利用者である法人経営等である。更に外国における金融の新展開を探るため、中国河南省・河北省でのマイクロファイナンス事業の調査を実施した。調査データに基づき課題に関わる論文を書き上げ発表した。 研究の成果としては以下のような点が確認できたことが大きい。(1)日本の農業金融は従来の小規模家族経営を対象にした金融から多様な経営体への金融に脱皮しつつある。(2)その中でABL等の新技術をつかった新しい金融手法が(政策の支えもあって)取り入れられている。(3)地銀や信金等の新しい金融機関の取り組みが見られる中で農協の農業融資が停滞している。(4)農業・農村金融を論じる際にはマイクロファイナンスにみられる外国の事例に注意しながら議論することが必要。(5)金融新技術は.定の条件つきであるが日本農業に十分に適用可能であり農業経営の発展に大きな意味を持ち得る(特に畜産農家やいわゆる6次産業を目指す経営体)。
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