2009 Fiscal Year Annual Research Report
地形連鎖とカモ・白鳥類の飛来が湿地からの地球温暖化ガス発生に及ぼす影響について
Project/Area Number |
21658079
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
梶原 晶彦 Yamagata University, 農学部, 助教 (60291283)
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Keywords | 地球温暖化 / 亜酸化窒素ガス / メタンガス / 湿地保全 / 水質浄化 / 渡り鳥 / ため池 |
Research Abstract |
H21年度は、ため池・湿地浄化水路の水質調査を1週間間隔、湿地内のガス測定を1ヶ月間隔で行った。ため池内にハス・ヒシ類が繁殖する春期~夏期では、ため池・浄化水路の硝酸態窒素濃度、アンモニア態窒素濃度はともに0.2mg/l以下と低濃度であったが、渡り鳥の飛来する10月以降は両濃度ともに2mg/l以上に上昇した。同時に観測された鳥類飛来数では10月中旬でカモ類20,000羽超、白鳥類5000羽超となっており、これらの糞尿による汚濁が起こっているものと推測された。 ため池の放流水が流入する湿地浄化水路の流入部・流出部調査結果から、春期~夏期の窒素低濃度時には流入濃度<流出濃度であることが多く浄化効果は小さかったが、10月以降の高濃度時には流入濃度>流出濃度となり、窒素の浄化効果が見られた。この窒素の浄化効果の一つの要因として脱窒作用が考えられるが、本浄化水路への流入水には上記のようにアンモニア態窒素が高濃度で含まれており、硝化作用の過程で亜酸化窒素ガスが発生することが懸念される。このため、湿地内での亜酸化窒素ガスおよびメタンガスの測定を行い、浄化水路への流入水(=ため池放流水)水質が温室効果ガス発生に与える影響を調査したところ、夏期には水田と比較して亜酸化窒素ガス発生量は小さく、メタンガス発生量が大きくなったが、10月以降には亜酸化窒素ガス発生量が増加し、メタンガス発生量は低下した。これらの結果より、渡り鳥の飛来によるため池の水質汚濁が、湿地浄化水路からの温室効果ガス発生量に大きな影響を与えていると考えられた。次年度はさらに水管理操作などによる影響等を調べる予定である。
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