2010 Fiscal Year Annual Research Report
性決定遺伝子情報を利用したミツバチ近交系の作出に関する研究
Project/Area Number |
21658095
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
木村 澄 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・家畜育種増殖研究チーム, 主任研究員 (30399422)
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Keywords | セイヨウミツバチ / ニホンミツバチ / 性決定遺伝子 / コンピューターシミュレーション / ホモ化 |
Research Abstract |
ミツバチは、半数体(雌)/2倍体(雌)の繁殖様式を持つ生物で、かつ単一遺伝子である性決定遺伝子(compound sex determiner : csd)による性決定機構を持つ。csdがホモ化した場合は、通常発生しない2倍体の雄が発生し、それらは働き蜂のよって淘汰される。このような繁殖様式のために、近交退化が起きやすく、近交系を作出することが困難である。csdの全配列が明らかになり、繁殖個体のcsdをあらかじめ調べた後に交配をすることが可能になった。セイヨウミツバチ近交系統作出に資するために、近交退化の大きな要因である性決定遺伝子(csd)のホモ化を回避し、それ以外の遺伝子座をホモ化するための実用可能な閉鎖群の交配方法を考案する。平成22年度は、昨年度開発した、PCR-RFLPに基づくcsdの多型を簡便に検出する方法をニホンミツバチでも利用できるようにした。この方法を用いて種間のcsdの多型の様相の違いを比較できるようになった。つくば市で捕獲したニホンミツバチ群の多型を調べたところ、一群あたり10-14の多型が検出され、ニホンミツバチでも大きな多型が存在することが明らかになった。また、人工授精技術を用いて、3元輪番交配によりセイヨウミツバチのパイロット系統の作成を開始した。この系統を使用してcsdのホモ化を避けた交配によって特定の遺伝子の変化を調べ、昨年度行ったコンピューターシュミレーションによる近交度の上昇の理論値と実験値の乖離を検討する予定である。
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