2011 Fiscal Year Annual Research Report
性決定遺伝子情報を利用したミツバチ近交系の作出に関する研究
Project/Area Number |
21658095
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
木村 澄 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・家畜育種繁殖研究領域, 主任研究員 (30399422)
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Keywords | セイヨウミツバチ / ニホンミツバチ / 性決定遺伝子 / コンピューターシミュレーション / ホモ化 |
Research Abstract |
ミツバチの性は、性決定遺伝子(compound sex determiner:csd)によって決まる。csdがホモ化した場合は、通常発生しない2倍体の雄が発生し、それらは働き蜂によって淘汰される。このような繁殖様式のために、近交退化が起きやすく、近交系を作出することが困難である。csdの全配列が明らかになり、繁殖個体のcsdをあらかじめ調べた後に交配をすることが可能になった。セイヨウミツバチ近交系統作出に資するために、csdのホモ化を回避し、それ以外の遺伝子座をホモ化するための実用可能な閉鎖群の交配方法を考案する。 平成23年度は、昨年度末開始したパイロット系統を使用してコンピューターシミュレーションによる近交度の上昇の理論値と実験値の乖離を検討する予定であったが、これらの群が例年に無い寒さにより冬越しができず、試験が行えなくなった。 一方、csd遺伝子型情報に基づき、近交を回避した交配によるcsd近傍およびcsdに連鎖していない遺伝子の近交度を求めるためにモンテ・カルロ法によるコンピューターシミュレーションを行った。最大近交回避交配または循環交配を50世代繰り返しをシミュレートし、近交係数、ホモ化の割合、対立遺伝子数等を算出した。各世代における近交係数とcsdに連鎖していない遺伝子におけるホモ化の割合はよく一致した。前期の世代において、最大近交回避交配は循環交配よりも近交係数が低く抑えられたものの、後期にはその値が逆転した。特に群が小さい場合、早い世代に近交係数の逆転がみられた。csdとの連鎖が強いほど、ホモ化の程度が低く、また残存する対立遺伝子数が多くなる傾向にあった。これらのことから、csd情報を用いた系統造成において、csd近傍の遺伝子以外はホモ化が可能であるのに対し、csd近傍の遺伝子のホモ化が困難であることが示唆された。
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